ケミカルピーリングとは、酸などの薬によって表皮、厚くなった角質層を剥離し、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を正常に戻す方法です。主に欧米で美容目的に利用されはじめたケミカルピーリングは、日本にも導入され、現在では多くの病院やエステティックサロンなどで行われています。シワやニキビにとても有効なケミカルピーリングですが、近年、トラブルが多くなってきたことも事実であり、施術を行う側はもとより、利用する側も充分に理解することが安全で効果的な治療を行うために大切です。
今では、女性なら誰もが聞いたことのあるピーリングですが、医学的にケミカルピーリングが用いられるようになったのは1892年。ドイツの皮膚科医Unnaによってはじめて確立され、当時はサリチル酸、レソルシン、フェノール、トリクロール酢酸(=TCA)を用いて行っていました。以後、それまで民間療法でしかなかった"ピーリング"が専門家の研究対象となり、処方として広がり始めることに。
AHAを用いたピーリングは、1984年に Van Scottらがその研究を報告し、1990年代に入ってから認知され、これをきっかけに米国で第二次ブームが起こりました。その後、有色人種に対しても副作用が少ない方法であることがわかってからは、厚生省から1994年にAHAピーリング剤の輸入許可が下りました。以後、日本でもケミカルピーリングは大ブームとなり、臨床医の間でも容易に治療に取り入れられるようになりました。
医療行為として19世紀後半に用いられるようになったケミカルピーリングですが、四千年以上もの昔、エジプト文明の頃には民間療法として行なわれていたようです。クレオパトラが肌をきれいにする為にミルク風呂に入っていたという話やフランスのルイ14世が古いワインを皮膚に塗っていたという話が伝えられています。前者はミルクに含まれている乳酸、後者はワインに含まれている酒石酸を利用したケミカルピーリングと言え、クレオパトラやルイ14世は、こうした行為が肌をすべすべにするということに気づいていたのではないかと考えられます。日本でも、冬になるとゆずやみかんを風呂に入れる習慣がありますが、これも一種のケミカルピーリングであり、肌にもたらす効果を経験されている結果ですよね。
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